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Roland社のVAD506が設置されたスタジオ

【ついにあのメーカーから登場!!】Roland本気の電子ドラム「VAD506」に迫る。

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Rolandって?

Rolandは先日の記事【フラッグシップ】最強の電子ドラムATV 「aDrum」を徹底解説!でもご紹介した通り、電子ドラムメーカーATVの設立者でもある梯 郁太郎(かけはし いくたろう)さんが1972年に設立した会社です。

Rolandが扱う楽器は電子ドラム以外にも「シンセサイザー」や「ギターアンプ」「エフェクター」など他にも幅広く扱っており、ギターアンプでは「JC-120」通称“ジャズコ”やエフェクターではBOSSブランドなどが有名です。

他にも世界的有名な機材で、1980年〜1983年まで製造されていたリズムマシンの「TR-808」通称“やおや”という名機があるのですが、人気に対して製造台数12,000台というその入手の難しさから、現在では状態次第で数十万円で取引される程に人気を博しています。

ちなみにRolandの研究所が本社と同じ静岡県浜松市にあるのですが、そこには創業から2000年前後までのビンテージ楽器を中心に展示してある一般公開されていないローランド・ミュージアムというスペースがあります。

Rolandの歴史は長く「電子ピアノ」「電子オルガン」「シンセサイザー」「電子ドラム」と、打楽器を電子化した製品の開発や販売を昔から行っていて、その歴史の深さが電子ドラムトップメーカーである由縁であるかもしれません。

今回はそんな電子ドラムメーカーの大御所Rolandがついに開発した、アコースティックと電子の垣根を超えるかもしれない電子ドラム「VADシリーズ」を紹介したいと思います。

VADとは

VADとはRolandの電子ドラムの名称であるV-Drumsと今回のコンセプトであるAcoustic Designをつなげた略称で、V-Drums Acoustic DesignVADと呼んでいます。

今までV-Drumsには「TD-1」「TD-17」「TD-25」「TD-27」「TD-50」といくつもラインナップがあり、これらの名称は音源モジュールの名称です。販売されている名称はパッドやシンバルなどの音源以外のパッケージ内容によりTD-50KVXのように英語が追加された表記になります。

V-Drumsはエントリーモデルからフラッグシップモデルまで幅広い価格帯で販売されていましたが、その中にアコースティックを意識したラインナップが充実していたわけではありません。

フラッグシップモデルTD-50シリーズのスネアパッドはアコースティックドラムらしい見た目でしたし、バスドラムもKD-220(約16万円)という生ドラムと同じ見た目のものに変えることもできましたが、全体を通して電子ドラムの最高峰と思わせる見た目でした。

この電子ドラムらしく見えてしまう要因としては、各パッドのシェルの深さが薄いことと、タムやシンバルを電子ドラムのフレームに固定する方式であったからだと思います。

これは電子ドラムを省スペースで利用し、片付けやすくする為に仕方ない仕様でしたが、新しく発売されるVADはこの電子ドラムらしい固定方法から脱却し、生ドラムと同様の方法でセッティングし、演奏することが可能になりました。

VAD506の仕様

VADの種類

VADシリーズは「VAD506」「VAD503」「VAD306」の3種類あります。VAD506とVAD503の違いはわかりやすく、VAD506から12インチのタムと16インチのシンバルを除いた仕様です。

あくまで販売するセットの内容が違う為にナンバリングが異なっていますが、タムとシンバル以外の仕様は全く同じです。

ここからはVADの各仕様や特徴についてまとめたいと思います。

VAD506(約52万円)

VAD506の各仕様

音源モジュール:TD-27
スネア:PD-140DS(14×4.3インチ)
バスドラム:KD-200-MS(20×16インチ)
タム1:PDA100-MS(10×7インチ)
タム2:PDA120-MS(12×8インチ)
フロアタム:PDA140F-MS(14×14インチ)
ハイハット:VH-10(12インチ)
クラッシュシンバル1:CY-14C-T(14インチ)
クラッシュシンバル2:CY-16R-T(16インチ)
ライドシンバル:CY-18DR(18インチ)

この他にはシンバルスタンドなどのハードウェアが付きます。ここで注意なのですが、どの電子ドラムも基本的にハイハットスタンドやスネアスタンド、ドラムペダルなどは付属品では無いので注意してください。

VAD503(約44万円)

VAD503の各仕様

音源モジュール:TD-27
スネア:PD-140DS(14×4.3インチ)
バスドラム:KD-200-MS(20×16インチ)
タム:PDA100-MS(10×7インチ)
フロアタム:PDA140F-MS(14×14インチ)
ハイハット:VH-10(12インチ)
シンバル:CY-14C-T(14インチ)
ライドシンバル:CY-18DR(18インチ)

このモデルは前述した通りVAD506から12インチのタムと16インチのシンバルが無くなった仕様になっています。

ちなみに私が気になっているのはこちらのモデルで、ここから好きなパッドを増設したいと考えています。

VAD306(約28万円)

VAD306の各仕様

音源モジュール: TD-17
スネア: PDA120LS-BK(12×4インチ)
キック: KD-180L-BK(18×7インチ)
タム1: PDA100L-BK(10×4インチ)
タム2: PDA100L-BK(10×4インチ)
タム3: PDA120L-BK(12×4インチ)
ハイハット: VH-10(12インチ)
クラッシュ1: CY-12C(12インチ)
クラッシュ2: CY-12C(12インチ)
ライド: CY-13R(13インチ)

VAD306はVAD506とハイハット以外の音源モジュールや各パッドの仕様が全て異なります。

太鼓類の見た目をアコースティックドラムに寄せつつ、従来のパッドを流用することでコストを抑えたモデルです。

音源モジュール

TD-27とは

VAD506に搭載されているTD-27は元々販売していたラインナップの音源モジュールで、フラッグシップモデルのTD-50から便利な機能や拡張性の高さを抑えることで、音源のクオリティはそのままに価格が大幅に抑えられたモデルです。

ですがTD-50は以前書いた記事【仕組みで解説】電子ドラムとアコースティックドラムの最大の違いって?で使用していたことをお話ししましたが、TD-50は私のような一般的なドラマーには多機能すぎるほどに何でも出来ます。

ライブやレコーディング、動画配信など、電子ドラムをメイン楽器としたプロアーティストとして活動をするのであれば非常に重宝するのですが、自宅での練習が目的でアコースティックドラムをメインとして活動する場合や、趣味として使用する場合、セミプロまでの活動範囲であればTD-27でも困ることはそうそうないのではないかと思います。

実際にTD-50は音源だけで約25万円しますが、TD-27になれば約13万円という半額近くに価格を抑えることができます。この価格差にはそれだけの価値があると思いますが、どちらも価格以上に音源の品質や使いやすい機能がたくさん備わっているので、納得いく体験ができると思います。

TD-27の機能

TD-27の基本機能をざっくりと説明しますと、TD-50で人気だった音源を含む55種類のプリセットドラムキットが収録され、TD-50にのみ搭載されていた“Prismatic Sound Modeling”というRoland独自の技術と、新開発の“PureAcoustic Ambienceテクノロジー”という技術が搭載されています。

さらにTD-50でしか使用できなかったデジタルパッドも使用可能になり、各パッドの感度や音色の変更、音源のエフェクトの調整が可能です。

またSDカードを使って自身のサンプリング音源を取り込み、演奏に使用することが可能です。

他には便利機能としてコーチモードという練習サポートの機能や、Bluetoothで接続することで端末内の音楽やYoutubeの音声とともに演奏できる機能などがあります。

先ほどのPrismatic Sound Modelingという技術ですが、これはドラムのヘッドやシェルなど、ドラムを構成しているパーツから発生する反響などの要素をデジタルで仮想的に再現、合成し再構築することでアコースティックドラムのような響きやサスティーンの減衰などを表現できるようにした技術です。

これはATVのaDrumとは根本的に違う手法で、aDrumはドラムの音を高品質で録音し、ほとんど加工しないで鳴らすことで生の音に近づけているのに対し、Rolandはアコースティックドラムの音を緻密に解析し、高品質で録音した音をそのまま鳴らすのではなく、デジタル技術で生の音を再現するという手法です。

ひと昔前であればデジタルで生音の再現するのは限界があり、そのために電子ドラムのような音という表現をされていましたが、最近のDTMの進歩を見て見ると、打ち込みの電子ドラムか生のドラムかわからないほどに作り込めるようになっています。

またPureAcoustic Ambienceテクノロジーという技術は演奏空間によって変わるドラムの鳴り方を再現し、録音マイクの種類やマイクとドラムの距離を調整することも可能にした技術です。

これにより自身の普段演奏したりレコーディングしている空間の再現が可能になり、ドラムの音だけでなく空気感もより生に近づけることを可能にしました。

ATVの生の音源をどこまでプレイヤーの演奏に合わせて鳴らせるかという技術と、Rolandのどんな音源も生の音に作り替え、再現する技術。どちらが好みかはユーザーによって分かれそうです。

各パッドの仕様

VAD506の太鼓類の見た目はアコースティックドラムと区別が付かないほど作り込まれていて、タムもアコースティックドラム用のタムホルダーやスタンドに対応できる仕様になっています。

そのため、ドラムセット全体をセッティングした見た目は生ドラムそのものを再現できるようになっていて、シェルの深さも生ドラム同様に作られているため、叩いた感触もより生ドラムに近づいています。

また、今までのRolandのメッシュパッドはチューニングキーを使用してメッシュヘッドの貼り具合の調整が可能で、スティックのリバウンドをより自然なリバウンドになるように調整することが可能で、VADでも調節機能は健在です。

VADのシンバルは新開発されたモデルで、従来のV-Drumsのシンバルよりも40%薄型になりました。今までのシンバルパッドは厚めのラバーパッドを叩いている感覚が強く、本物のシンバルのような叩き心地とは言い難かったのですが、実際にNAMM Show2020で試奏した某楽器店のスタッフ曰く、約5cm程度薄くなっていて、叩き心地やシンバルの揺れ方がより生ドラムのようだったそうです。

VAD506は音源のクオリティや見た目の進化だけでなく、実際に叩いてた感覚まで進化した電子ドラムです。

ですが数々の進化の中でも、今までTD-50でしか使用できなかったデジタルパッドという最新鋭のパッドを使用できるようになったことは大きな進化です。

そこで最後にデジタルパッドについてご紹介したいと思います。

デジタルパッド

V-DrumsではPD-140DSというスネアとCY-18DRというライドシンバルがデジタルパッドと呼ばれています。

従来のパッドは1つの打面を1つのセンサーで感知していて、スネアであればヘッドに1つとリムに1つのセンサーで感知していました。そのため感度調節やダイナミックレンジの幅には限界があり、生ドラムを再現するには超えなければならない壁でした。

ですがそこで登場したデジタルパッドはマルチ・エレメント・センサーというセンサーが搭載されていて、スネアには8つ、ライドシンバルには6つのセンサーが搭載されています。

そしてそれぞれのパッドにはセンシングプロセッサが内蔵されています。このセンシングプロセッサというのはいわばセンサー用のCPUで、簡単に言えば頭脳です。このCPUを内臓することにより、1つのパッドに搭載された複数のセンサーが感知した振動や衝撃を要素別に解析し、音源モジュールへ高速デジタル通信によって伝達することで、叩いてからの反応がより早く、リアルな音の再現を可能にしました。

この革新によってスネアもライドシンバルも叩いた位置やダイナミクスの検出精度が格段に進化し、連打した際の音色の変化にもより細かく反応することが可能になりました。

そして世界初の静電容量式のミュートセンサーを搭載することにより、ライドシンバルはボウの部分に触れるだけでミュートされ、スネアはヘッドに触れている間だけリムショットの音色がクローズドリムショットの音色に切り替わるようになりました。

現時点ではスネアとライドシンバルのみの仕様ですが、今後各パッドにこの技術が応用されていけば電子ドラムはアコースティックドラムの垣根を超え、デジタルとアナログのハイブリッドドラムが誕生するかもしれません。

最後に

これまで様々な機能や仕様を紹介してきましたが、Rolandの電子ドラムはもっと細かく説明しようとするとキリがないくらいに多機能でこだわりが多く、歴史が深い電子ドラムです。

もし気になっていただけた方がいれば是非最寄りのドラムショップや公式サイトで調べてみていただければ、私の解説よりもっと多くの魅力を感じられるかもしれません。

VADシリーズの販売は2020年5月下旬に予定されていたのですが、コロナの影響で販売が延期されて販売時期が未定になってしまいました。しかし某楽器店では7月頃に販売予定とアナウンスしているので、もしかしたら近いうちに販売される可能性もあります。

私としては待ち遠しいのですが、この間にもっと電子ドラムについての調べてみたいと思っています。

VADも他の電子ドラムもそうですが他社の音源やパッドの入れ替えが可能なことが多いので、VADの発売を機に私なりに最高の電子ドラムの組み合わせはなんなのかを見つけ、皆さんにご報告できれば嬉しいです。