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【仕組みで解説】電子ドラムとアコースティックドラムの最大の違いって?

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電子ドラムとは?

電子ドラムとはその名の通り電気信号を利用することで、日本の住環境でも手軽に楽しむことができるドラムのことです。

電子ドラムのブランドはアコースティックドラム(いわゆる生ドラム)のブランドとは少し違い「Roland」「YAMAHA」「Alesis」などが有名どころです。

その他にも格安のエントリーモデルで有名な「Mederi」や、電子ドラムの概念を再定義するほどのハイクオリティーな音源モジュールを持つATVなど様々なブランドが存在しています。

近年はパッドやトリガーなどの電子機器をアコースティックドラムと併用するプレイヤーが多くなり、電子ドラムとアコースティックドラムの間に大きな差がなくなってきています。

より本質的に電子ドラムとアコースティックドラムにはどんな違いがあるのかを理解していただくために、まずは電子ドラムについて詳しく解説させていただこうと思います。

電子ドラムの仕組み

電子ドラムを構成するパーツ

各メーカーが販売している電子ドラムを構成しているパーツは主に「音源モジュール」「パッド」「スタンド」の3つです。

セッティングは非常に簡単で、スタンドにパッドをセットしパッドと音源モジュールをケーブルで繋ぐだけ。

メーカーやブランド、またはその電子ドラムのグレードによって音源モジュールの中に収録されている音源のクオリティーや種類の豊富さなどが変わってきます。

またパッドの素材やサイズ、スタンドの可動幅や堅牢性、組み込みの精度なども様々で、安価なエントリーモデルと高額なフラッグシップモデルとでは機能的に大きな差があります

アコースティックドラムはブランドやグレードの違いで機能的に大きな差が生まれることは基本的にありませんので、この点がまず一つ目の電子ドラムとアコースティックドラムの違いかもしれません。

電子ドラムの「音源モジュール」とは?

音源モジュールというのは、アコースティックドラムの各太鼓やシンバル、パーカッションの音などををレコーディングして、調整されたサンプリング音源が収録されている機械で、電子ドラムの心臓ともいえるパーツです。

また前述の通り、音源モジュールのグレードによって電子ドラムで出来ることの幅が異なります。

私が実際に使用していたRoland / TD-50は、USBメモリやパソコンとかんたんに接続できる仕様になっており、電子ドラムを使ったレコーディングや、自分で生ドラムの音をレコーディングして電子ドラムの音色として使用する事が出来ました。

TD-50は正直一般的なドラマーには多機能過ぎるほどの機能が搭載されていて、私自身全ての機能を使いこなせていたわけではないのであまり上手にお伝えすることができませんが、まるで自分がアリーナで演奏しているようなエフェクトをかけたり、はたまたドラムセットが丸々民族楽器に変わったり、シンセサイザーに変わったりと、とにかくドラムを使って楽しめるアイデアが満載で、ローランド社のドラムに対する情熱を感じました。

電子ドラムの「パッド」とは?

パッドの打面の素材には「ゴムパッド」「シリコンパッド」「メッシュパッド」があります。

フープの部分はシリコンやゴム、金属製のものがありリムショットで音が変わるようになっている物もあります。

またグレードによってシェルがある物と無い物とがありますが基本的に音には関係していません。

ここで一点、電子ドラムのパッドには注意するべき点があります。

電子ドラムのゴムやシリコンのパッドは反発力が高く、アコースティックドラムのヘッドよりもヒットの際に手首にかかる負担が大きいため、叩き方によっては腱鞘炎を起こすことがあります。

ゴムパッドやシリコンパッドの電子ドラムを使用していてもし手に違和感を覚えたら、休憩を長めにとるか叩き方を見直してみた方が良いかもしれません。

電子ドラムの「スタンド」とは?

電子ドラムを構成するパーツの中で意外と重要なのがスタンドです。

安価なモデルはパッドの位置が固定されていることが多く、多少角度が調整できるものでもパッド位置の調整幅が非常に狭いため、体格やプレイスタイルによっては強い違和感を覚えるかもしれません。

また、無理がある配置のまま練習を続けていると怪我をしたり実践的ではないクセが付いてしまうことがありますので、購入前に店舗で試奏するなどしてしっかりと確認しておくことをオススメします。

余談ですが私がそこまで配置の自由度を気にするのには、私自身の肩幅が広く手が長いため標準体型を想定して作られている製品が体に合わないことが多いという理由があります。

もちろんエントリーモデルでも各メーカーはユーザーのプレイヤビリティーを第一に設計していますので、もしあなたが一般的な体格の場合は問題がないことが多いとは思いますが、私自身、スタンドが体に合わないことが原因で何度も買い換え、結局フラッグシップモデルまで買い進めてしまいました。

当時私はスタンド、パッド、モジュールをフルパッケージで買い換えていましたが、現在はスタンドだけ買い換えることなどもできるようですので、これから電子ドラムの購入を検討している方は、セッティングの自由度を購入前に入念に確認しておくことで、無駄な出費を抑えて自分にぴったりの電子ドラムを手に入れられるかもしれません。

電子ドラムとアコースティックドラムの音が鳴る仕組みの違い

ここからは2つのドラムの音が出るまでを解説したいと思います。

電子ドラムの仕組み

まず電子ドラムの仕組みですが、電子ドラムはパッドと音源を接続しただけでは音は出ません。

というのも、パッドを叩いているポコポコ音は鳴りますが「電子ドラムの音」というのは、もちろんこのパッドを叩いたポコポコ音ではなく音源モジュールから再生された音のことです。

そのため電子ドラムは、音源モジュールにヘッドホンやスピーカーなど、音を外部に出力する機器を接続することで初めてドラムの音色が聞こえるようになります。

そしてそれぞれのパッドには振動を感知するセンサーが付いており、多くのエントリーモデルは叩いたかどうか、上位モデルは叩いた振動の強さを感知しています。

振動を感知するとそのパッドに設定された音が感知した振動を元に再生されるという仕組みです。

音源モジュールにはドラムテックが完璧に調整したアコースティックドラムをプロドラマー演奏し、レコーディングの専門家が実現し得る最高の環境でレコーディングした、まさに世界最高品質の音源が収録されています。

これにより、電子ドラムを演奏する人の住環境やテクニックにかかわらずを素晴らしい音色でドラムを鳴らすことができることが最大の特徴です。

アコースティックドラムの仕組み

次にアコースティックドラムの仕組みを説明します。

アコースティックドラムは本当にわかりやすく、叩けば音が出ます。強く叩けば大きい音が鳴り、繊細なタッチにはそれに呼応するように優しい音色が紡ぎ出されます。

しかしライブやレコーディングでドラムの音を扱おうとすると、仕組みが少し複雑になります。

アコースティックドラムはアナログ楽器ですので、生音を増幅したり音色の調整をするなど、ドラムの音を扱うためにはパソコンやPA機器などを通す必要があります。

この時マイクを使って生音を拾い、電気信号へと変換することになるのですが、その後変換された電気信号を使って音を鳴らすというこの先の流れは電子ドラムと非常に似ています。

つまりアコースティックドラムの最大の特徴はこの電気信号になる前の生音を扱う点にあるのです。

アコースティックドラムはいわば生モノで、アナログ楽器です。それゆえに気温や湿度、部屋の設計や材質、ヒットの角度やパワー、プレイヤーの体格から気分、体調まであらゆる要素から強い影響を受けます

アコースティックドラムはアナログ楽器だからこそ、プレイヤーの演奏通りにしか鳴りませんし、スネアを叩いてトランペットの音が出ることはありません。

また最近はアコースティックドラムの拡張機器として「ドラムトリガー」という取り外しが出来るセンサーが普及して、アコースティックドラムでも電子ドラムのようなプレイが可能になってきています。

※トリガーについてはこちらの記事で詳しく解説しています。

電子ドラムとアコースティックドラムの違い

前述の通り電子ドラムとアコースティックドラムの最大の違いは音が鳴る仕組みであり、またこの違いこそ、両者が独立して共存出来る理由なのではないかと私は思っています。

それ以外の違いは乱暴に言えば工夫次第でどうとでもなる要素でしかなく、電子でもアコースティックでもどちらでも良い話です。

アコースティックドラムは、プレイヤーの熱意や気持ちを音を通して伝えることが出来る楽器なのだろうと私は思っています。これだけはデジタルの楽器には逆立ちしても再現できません。

またこれはつまり、その道を極めればプレイヤーの個性が音として表現できるということであり、これがアコースティックドラムの最大の魅力だと思います。

しかしその反面、不便な点も沢山あります。

1つの太鼓からはその太鼓の音しか出ませんし、叩くほどにチューニングも乱れます。

それだけでなく音が大きすぎて日本の住環境では自宅で叩ける人は限られていますし、レコーディングも大掛かりでそれなりの費用がかかってしまいます。

また体格によって出音が大きく左右されます。

極端な言い方をすれば、バスドラムの音は体重が重い人間が上手に踏んだ方が大きく太い音が出ますし、その反面で小さい音のコントロールが難しかったりします。(もちろんプレイヤーの技量が音色を決定する最も大きな要素ですが)

良くも悪くもアコースティックドラムはプレイヤーと一心同体と言えます。

では電子ドラムの魅力とは一体何でしょうか?

それはアコースティックドラムの不便な点がほとんど解決されていることだと思います。

しかしそれは裏を返せばアコースティックドラムが持つ特有の魅力が無いということでもあります。(手のかかる子ほど可愛いとはよく言ったものですね)

また、ネット記事などでよく「電子ドラムで練習すると下手になる」とか「生ドラムの練習にならない」などという意見が見られますが、ハッキリ言って電子ドラムとアコースティックドラムを同じ楽器として比較するのはナンセンスです。

電子ドラムを練習しても電子ドラムを演奏する技術が上達するだけであり、アコースティックドラムの場合もまた同じことが言えます。

ですが逆に、両者が別の楽器だということを意識して練習することができれば、電子ドラムを使ってアコースティックドラムでの演奏を想定した練習も可能になると思うので、まずは一度どちらのドラムにも触れてみることが一番でしょう。

まとめ

今回は電子ドラムとアコースティックドラムの違いについて解説してきましたが、記事を書いていて不思議に感じたことがあります。

電子ドラムはアコースティックドラムの不便なところを解決しすぎてアコースティックドラムでは無い別のものになっていますし、なぜかアコースティックドラムはトリガーが生まれてやっとアコースティックギターくらい便利になった程度にしか進歩していません。

いつかエレキギターのようにアナログとデジタルが程よく調和したような良いとこ取りのドラムが開発される日を楽しみに、日々精進しようと思います!